ゴールデンクロス,デッドクロスのサインとだましチャート事例
短期間の移動平均線と長期間の移動平均線がクロスするポイントを、テクニカル分析においては、
「ゴールデンクロス(買いのサイン)」
「デッドクロス(売りのサイン)」
と呼び、多くのトレーダーが意識しているシグナルの1つとされています。
以下のように短期間の移動平均線(150MA)が長期間の移動平均線(375MA)を下から上に貫く形でクロスするケースがゴールデンクロス(「買い」のサイン)。
また、以下のように短期間の移動平均線(150MA)が長期間の移動平均線(375MA)を上から下に貫く形でクロスするケースがデッドクロス(「売り」のサイン)です。
ゴールデンクロスは、相場が上昇するシグナルとされ、対するデッドクロスは、相場が下降するシグナルとされています。
ただ、このゴールデンクロス、デッドクロスは、シグナルが発生しても、そのシグナルに沿った値動きが伴わない、いわゆる「だまし」が多いとも言われています。
そのため、ゴールデンクロス、デッドクロスだけをアテにしてトレードを行っていったとしても、おそらく勝ち続ける事は出来ません。
ですが、ゴールデンクロス、デッドクロスが少なからず「有効なシグナル」である事実に変わりはなく、また、このシグナルに「だまし」が多い事にも相応の理由と要因があります。
その要因や理由が分かれば、そのシグナルの捉え方、使い道も変わってきますので、ゴールデンクロス、デッドクロスが何故、有効と言われているのか。
また、どのような理由や要因によって「だまし」が生じているのか、などを解説していきたいと思います。
ゴールデンクロス、デッドクロスと「だまし」の要因。
上記のチャート例では「150MA」と「375MA」の移動平均線でゴールデンクロとデッドクロスをご紹介しました。ただ、ゴールデンクロスとデッドクロスのシグナルにおいては「移動平均線のパラーメーター(平均値の対象となる期間)」がとくに特定されていません。
その上で、移動平均線はトレーダーが表示している時間足や移動平均線のパラーメーターで形状が全く違ってくるインジケーターです。
つまり、ゴールデンクロス、デッドクロスのタイミングやポイントは、各トレーダーの時間足チャート、移動平均線のパラメーター(設定)次第で大きく変わってくるという事です。
よって、全てのトレーダーが全く同じタイミングとポイントでゴールデンクロス、デッドクロスを捉えているなら、そのシグナルがそのまま値動きのきっかけになるような事もあるかもしれません。
ですが、あらゆる時間足のあらゆる移動平均線でゴールデンクロス、デッドクロスが、言わば「頻発」しているわけですから、相場が常にそのシグナルに沿って動くはずがないわけです。
とは言え、ローソク足チャートの「時間足」や移動平均線の「パラメーター」は、一定数の多くのトレーダーが共通して見ているとされる時間足、パラメーター設定などが存在します。
よって、この「ゴールデンクロス」「デッドクロス」のような移動平均線によるシグナルは、
『多くのトレーダーが見ているとされる時間足』
『多くのトレーダーが設定しているとされるパラメーターの移動平均線』
これらによるサインを意識しているトレーダーが多い傾向にあるものの、それでも、上記に該当するような「時間足」や「移動平均線のパラメーター」は、
・5分足(短期)
・1時間足(中期)
・1日足(長期)
といった視点で、主軸にしている時間足チャートそのものがトレーダーによって異なる傾向にあります。
また、移動平均線のパラメーターも、
・20MA、60MA、120MAなどの20の倍数を設定しているトレーダー
・25MA、75MA、150MAなどの25の倍数を設定しているトレーダー
などに分かれるため、どちらにしても「ゴールデンクロス」「デッドクロス」などのシグナルがチャート上に出現するタイミングは、個々のトレーダーが見ている時間足チャートやパラメーター次第で変わってきます。
つまり「ゴールデンクロス」「デッドクロス」のような移動平均線によるシグナルに『だまし』が多いとされる要因は、結局のところ、そのシグナルそのものが、
・主軸としている時間足チャート
・そのチャート上に表示している移動平均線のパラメーター
これらによって異なるタイミングで出現しているためであり、これらの違いによって、有効となるケースもあれば、騙しで終わるケースもあるという事です。
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尚、ここで言及した「移動平均線のパラメーター設定」については、別途、この設定値についてを詳しく解説している記事がありますので、こちらも併せて参考にしてください。
ゴールデンクロス、デッドクロスの理論的背景
それでも、上記で挙げたような、『多くのトレーダーが見ているとされる時間足』
『多くのトレーダーが設定しているとされるパラメーターの移動平均線』
におけるゴールデンクロス、デッドクロスのシグナルには一定の有効性があるとされているのは、移動平均線というインジケーターの仕組みに起因しています。
そもそも「移動平均線」は一定期間の平均レートをグラフ上にした上で、そのグラフが時間の推移と共に「移動」していくインジケーターのため、
・短期の移動平均線が長期の移動平均線の下にある
→ 短期間(近い期間)で売買した人達の方が安いレートで売買している
・短期の移動平均線が長期の移動平均線の上にある
→ 短期間(近い期間)で売買した人達の方が高いレートで売買している
といった見方で各移動平均線の「位置関係」を捉える事ができます。
よって、ゴールデンクロス、デッドクロスは、以下のような「分岐点」に該当するような見方が出来るという事です。


その上で、相場における「値動き」や「トレンド」の予測においては近い期間のレートの推移状況に重きを置くのがセオリーとなっているため、
・短期間の平均レート(短期移動平均線の推移)
・長期間の平均レート(長期移動平均線の推移)
であれば、やはり短期間の平均レートの推移が現在の値動き、および現在のトレンドの予測において「重要度が高い指針」という事になります。
よって「長期間の移動平均線」よりも下に位置していた「短期間の移動平均線」が、長期の移動平均線を上に抜けていく「ゴールデンクロス」の状況は、
・近い範囲の売買に伴う平均レートが長期間の平均レートと一致した状況
・近い範囲の売買に伴う平均レートが長期間の平均レートを超えた状況
このような状況を意味する事になるため、これは短期間(近い範囲)で売買を行っているトレーダー達が、より高値で売買を行っている経過状況を意味する事から、
ゴールデンクロス = 上昇トレンド(近い範囲の売買で買いが強くなっている)
といった「指標分析」が成り立ちます。

対して「長期間の移動平均線」よりも上に位置していた「短期間の移動平均線」が、長期の移動平均線を下に抜けていく「デッドクロス」の状況は、
・近い範囲の売買に伴う平均レートが長期間の平均レートと一致した状況
・近い範囲の売買に伴う平均レートが長期間の平均レートを下回った状況
このような状況を意味する事になるため、これは短期間(近い範囲)で売買を行っているトレーダー達が、より安値で売買を行っている経過状況を意味する事から、
デッドクロス = 下降トレンド(近い範囲の売買で売りが強くなっている)
といった「指標分析」が成り立つわけです。

ですが、このような「指標分析」は、やはり先立って言及した通り、あくまでも、特定の時間足チャート上に表示された、特定のパラメーター設定による移動平均線による経過状況でしかないため、
・ローソク足チャートの時間足
・そこに表示している移動平均線のパラメーター
これらが異なれば、とくにそのような経過状況が全く見られないケースが大半のため、実際にゴールデンクロス、デッドクロスを示した「時間足」と「移動平均線」のシグナルが、実際に有効なサインとなるかどうかは、また別の基準によって判断する必要があります。
つまり、ゴールデンクロス、デッドクロスのようなシグナルは、それのみをアテにするのではなく、そのシグナルに沿った値動きを裏付けられるような別の基準を別途、追及する必要があるという事です。
その上で、移動平均線を利用したテクニカル分析は、
・移動平均線同士の推移、交差状況に重きを置く
・移動平均線と現在レートの推移、交差状況に重きを置く
このような2つの大きな方向性に分かれる傾向にあり、ここで解説させて頂いたゴールデンクロス、デッドクロスは前者の「移動平均線同士の推移、交差状況に重きを置くシグナル」となっています。
もちろん、どちらの方向性においても、メリット、デメリットがあるのですが、
「移動平均線そのものがパラメーター次第で異なる形状になる」
という実情を踏まえる限り、あえて移動平均線同士の推移や交差に重きを置くよりも、全てのトレーダーが実質的に同じ推移を目にしている「現在レート」と「移動平均線」の推移や交差状況に重きを置く方が「合理性」というのが私の考えです。
そんな「移動平均線と現在レートの推移や交差状況によるシグナル」としては『グランビルの法則』などが有名どころになると思いますので、こちらの記事も、併せて参考にしてください。
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ちなみに私が推奨している情報商材の1つ、
『FXism及川デイトレ大百科』
において提唱されているトレード手法は、この「移動平均線」のみを用いた、言わば「移動平均線の有効性を突き詰めたノウハウ」となっています。
>FXism及川デイトレ大百科(及川圭哉)レビュー記事はこちらから
この『FXism及川デイトレ大百科』のノウハウは、まさにこの記事内で解説した、
『移動平均線と現在レートの推移、交差状況に重きを置くノウハウ』
となっていますので、もし、興味があればレビュー記事の方にも目を通してみてください。
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